日本放送協会(NHK) 音響デザイン部 部長 加藤 直正氏にお越し頂き、ミュージック学部の学生に向けて特別講義を実施しました。
加藤氏はNHKの朝ドラ「あまちゃん」や大河ドラマ「義経」などの音響制作を担当。
演出家や作曲家、音声部や制作部など様々な人たちと関わり合いながら、一つの音を創り上げています。
今回の講義テーマは「音響デザイナーの思考と実践」
まずは音響デザイナーとは何かを学生達にお話し頂きました。
「音響デザイナーとは、コンテンツのメッセージを的確に伝え、すべての音の可能性を引き出しコントロールしていくことが大切。自分が好きな曲を選曲したり作ってもらうのではなく、コンテンツのための音や音楽を考え、作っていくのが仕事です。」
現場の最前線で活躍してきた加藤氏の講義に、学生達もみな真剣な表情で講義に取り組んでいました。
次に音響デザイナーの発想を体感!
まずは「貝殻トレーニング」。表面に凹凸のある貝と貝をこするとみなさんも聞いたことのある音がでます。さて何の音でしょう!?学生達が実際に貝を持ち、音を鳴らしながら全員で考えました。
カエルの鳴き声!!誰が思いついたのか、先人たちの発想力には頭が下がります。
次は静止画トレーニング。目黒川の満開の桜の静止画を見てどんな音が思いつくか学生達に考えてもらいました。
「川の流れる音」
「風の音」
「花見をしているにぎやかな音」
学生達からは色々な答えがでてきました。
中には「花見で飲みすぎた人がいたため救急車の音が聞こえます。」と答えた学生も 笑
「みなさんの日常にも様々な物や風景があります。そこでどんな音がするのか考えたり実際に音をだしてみたり毎日意識して音の記憶の貯金箱を貯めていってください。」
日々の生活の中でも色々な音響制作のトレーニングができることを教えて頂きました。
講義の後半では、「音響デザイン的ワークショップ」を実施!
音楽の入ってない短い課題VTRを観て、そのシーンに合った音楽は何かを考えていきます。まずは「そのシーンで何を伝えたいか」を考えたあと、4種類の音楽を流し、どの曲が一番合うかグループディスカッション!どのグループも色々な意見がでてきて、白熱したディスカッションが行われていました。
グループディスカッションのあとは各グループの発表!
グループで話し合った内容を全体に発表していきました。なんと6グループ中5グループが同じ曲を選択!発表後は実際のシーンに曲を合わせて全員で聞いてみました。
今回のワークショップで、「最初に選曲に手をつけてはダメ。そのシーンでは何を伝えたいのか、どんなことを感じて欲しいのかを考えてから選曲すること」を学生達は学びました。
講義の最後には学生達からの質疑応答。1人1人丁寧に答えて頂きました。
「音響デザインは心のデザイン。人の気持ちを音にする仕事でもあるし、デザイナーの心もいくら隠してもそのまま出ちゃいます。映像の奥にある見えないものを音で表現できるようになるのが最大の目標。いつも周りの音に耳を傾け、時には実際の現場に出向き、見えているものの「奥」を想像し、感じ取りながら音の勉強をしていって欲しい。」
加藤氏の講義に学生達も大変刺激をもらい勉強になったことでしょう。
日本放送協会 HP