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(リンクはYoutube・2025年2月現在)
タイトル:
幽玄と怪奇舞う「夢幻能・両月」 新しくも、古くあれ。
作者名:佐藤 優音・呉 鵑娟・岡南 陸愛・仙田 直人・千室 慧太・福島あかり・三浦 颯馬・宮﨑 希喜・八木 拓心・横山明日香
1月に開催された未来創造展。
卒業学年による卒業制作展で、見事4年制チームの中でHAL大賞を受賞したチームの
リーダー佐藤さんにインタビューしました。(ホロごえ賞とW受賞)
*チーム結成の経緯
今回の作品を制作するにあたり、これまで一緒に制作をしてきた仲間、そして以前から「ぜひ一緒に制作してみたい」と思っていた方々に声を掛けました。
共通していたのは、クリエイティブに対する熱意や誠意、高い技術や発想力を持つメンバーばかりだったことです。
それぞれが自分の役割を全うしながら、互いに信頼し合って作品を作り上げることができ、とても充実した制作過程だったと感じています。
チームの結成そのものが今回の作品の成功につながる大きな要因だったと言えるかもしれません。
*HAL東京の授業で役立ったこと
1年生の頃から専科でゲームエンジンに触れる機会があったことが大きなポイントでした。
内容は基礎的なものが多かったですが、基礎こそ独学では習得が難しく、しっかりと学習の土台を作ってもらえたことに非常に感謝しています。
実際に、今回の卒業制作でもゲームエンジンを使用しており、その経験が大いに活かされました。
早い段階から基礎を習得し、応用の技術や情報、それに伴う経験を積めたことで、制作をスムーズに進めることができたと感じています。
*制作で特に苦労したこと
とにかく量も質も求められるタスクを、知恵と勇気で乗り越えたことが印象に残っています。
この作品はカット数が多めで、それぞれのカットの制作カロリーもかなり高いものとなっています。
限られたリソースをいかに活用するか苦心しました。
そして、エンディングでは実写を使用しています。
実写の制作は誰も経験が無く難航しましたが、慣れないながらも美しい映像に仕上がるよう試行錯誤しました。
最初から最後まで、目を離さずにご覧いただければと思います。
*作品で特に注目してもらいたいところやおすすめポイント
本作では、能楽に触れたことのない方でも興味を持ち、自然とその世界に引き込まれるような仕掛けを随所に施しています。
作中に登場するあらゆるデザイン、そして物語を通して伝えるメッセージも、能楽を基としたものとなっています。
能楽に初めて触れるという方にこそご覧いただきたいです。
ですがやはり、企画からモデル、アニメーション、エフェクト、コンポジット、音楽に至るまで、すべての要素にこだわり抜いて制作しています。
視点を変えて何度も見返していただくことで、新たな発見がある作品になっていると思います。
*作品制作を振り返って成長したこと・できるようになったこと・学んだこと
卒業制作を通じて、「一本筋を通すことの難しさ」と向き合う機会が何度もありました。
しかし、最終的に笑うことができるのは、信じた道を貫き、耐え続けた者だけなのだと実感しました。
制作期間中、同じ空間で多くのチームがそれぞれの作品づくりに励んでいました。チームごとに制作の進め方や雰囲気は異なり、その様子を見ることで様々思案することが多かったです。
時には、どこかで妥協する方が楽で、周囲との衝突も避けられると感じることもありました。
しかし、その選択をしてしまえば、きっと自分自身が後悔することになる。そう確信したからこそ、貫くべき部分は貫き、最後までやり抜くことができたのだと思います。
*入学を考えている方へ
自分は特別すごい人間でも、偉い立場の人間でもありません。ただの学生です。でも、だからこそ「ただの学生なりの言葉」として、少しでも何か伝わればと思います。
この道を選ぶ方の多くは、「好き」という気持ちを原動力にしているはずです。
ですが、その「好き」が時に周囲の期待やプレッシャーを生むこともあります。「好きならできるでしょ?」と言われ、その言葉に違和感やプレッシャーを感じることもあるかもしれません。
でも、それは「好きじゃない」ということではなく、むしろ「本当に好きだからこそ」生まれる感情なのだと思います。
その違和感の正体を深く考えてみると、自分が何を本当に大切にしているのかが、より明確に見えてくるはずです。
大好きなものがある人は強い。だからこそ、その「好き」を大事にして、それを磨き、輝かせられる道を選んでほしいと思います。